デジタルテクノロジーを積極的に活用しているデンタルバイオビジョンには、日々口腔内スキャナーの導入に関する相談をいただいております。近年、口腔内スキャナーの種類が多様化しています。2026年2月現在、国内外約10社のメーカーから20種類以上のモデルが販売されており、以前のように『〇〇社の××がいいですよ」と一概にお答えできない状況になっております。
そこで、今回は現在の口腔内スキャナー選びのポイントから、各歯科医院様に合わせた口腔内スキャナー導入方法を紹介していきたいと思います。
前述のように、現在の口腔内スキャナー市場では、約10社のメーカーから20種類の口腔内スキャナーのモデルが販売されております。費用的には「200万円以下のローエンドモデル」「300万円程度のミドルエンドモデル」「400万円を超えるハイエンドモデル」の3種類に分けられ、以前は費用感が優先され導入を検討する歯科医院様が多かったように思います。しかしながら、口腔内スキャナーのスペックが日々進歩する中、昨今は費用感よりもその他の要素で選ぶ歯科医院さんが増えています。
※2026年3月時点
まず最初に自院が自由診療メインの歯科医院なのか保険診療メインの歯科医院なのかによって導入した方がいいモデルは異なります。保険適用で使える口腔内スキャナーを使った診療は限定されています。それは、CAD/CAMインレーの製作です。 2024年6月の診療報酬改定により、CAD/CAMインレー(詰め物)を製作する場合に限り、口腔内スキャナーによる「光学印象」が保険適用となっています。
裏を返せば、ほとんどのことが口腔内スキャナーを使ってやることができないということで、もし、ご自身の歯医者が保険診療がメインの場合には価格が安いモデルを導入するのがいいでしょう。
口腔内スキャナーの重さは軽いものと重いものとでは約4倍と異なります。一番軽いモデルでは120g程度。重いものであれば約500gです。口腔内はとても狭い場所です。そこで細かい作業をすることを考えると軽くて、ワンド(カメラの付いている先のほう)が小さい方が使いやすいのはご理解いただけると思います。また、使う衛生士さんは女性がほとんどかと思います。先生だけではなく、女性の衛生士さんも使うという事を考えると持ちやすくて軽いものがおすすめです。
口腔内スキャナーでは大きく分けて共焦点法と三角計量法式に分かれます。共焦点法とは、レーザーや光を用いて被写体の表面をスキャンする方法です。レーザー光や光線を被写体に照射し、その光が反射して戻ってくる時間や位置の変化を検出します。計測にはレーザーポイントを用い、レーザー光線が被写体の表面で焦点に集中する時点で計測が行われます。
三角測量方式とは、複数のセンサーまたはカメラが異なる位置から被写体を観察し、その位置や角度の変化から被写体の形状を推定する方法です。計測のためには、被写体の特定のポイントに対して各センサーまたはカメラの位置を知る必要があります。三角測量方式は、光学的な計測のため、照明条件や被写体の反射特性に影響を受けやすい場合があります。
最近では、これらの計測方法以外に、独自技術の計測方法を採用しているものもあります。これらの計測方法の違いは、多少撮りやすさに影響はあるものの、むしろ価格差に反映している感じです。どのような計測方法を選ぶかより、大事なことは撮る側(術者)の使いこなすスキルになります。
レーザーや光を用いて被写体の表面をスキャンする方法。
レーザー光や光線を被写体に照射し、その光が反射して戻ってくる時間や位置の変化を検出する計測にはレーザーポイントを用い、レーザー光線が被写体の表面で焦点に集中する時点で計測が行われる。
複数のセンサーまたはカメラが異なる位置から被写体を観察し、その位置や角度の変化から被写体の形状を推定する。
計測のためには、被写体の特定のポイントに対して各センサーまたはカメラの位置を知る必要がある。
三角測量方式は、光学的な計測のため、照明条件や被写体の反射特性に影響を受けやすい場合がある。
口腔内スキャナーはスキャナーと同時に確認するモニターとの組み合わせに「汎用PCタイプ」「専用PCタイプ」「カートタイプ」の3つに分かれます。ハイエンドモデルの場合には専用のPCがついていたり、カートタイプだったりするケースが多いです。
歯科医院様によって医院の規模や設計の形は異なります。規模や設計の状況によりワイヤレスのモデルが使えるかどうかも変わってきますので、その辺りも考慮し、どのようなタイプの口腔内スキャナーを選ぶか検討された方がいいでしょう。
口腔内スキャナーのメーカーは国内外で10社ほどあります。その中でどこのメーカーのものを導入するかを選ぶとなるとサポート体制は重要になります。導入の段階でセットアップやスタッフへの研修をしてくれるところばかりではありません。中には十分なサポート体制が構築されていないメーカーさんもあります。
また、海外のメーカーの場合、日本支社がなく販売代理店を通しての導入になる場合もあります。その場合、メーカーサポートの窓口が存在しない場合もあります。逆に、口腔内スキャナーをしっかりと使えるラボさんまで紹介してくれるなど、導入後も利活用できるようにサポート体制を整えているメーカーさんもあります。まだまだ日々進歩する口腔内スキャナー。こうしたサポート体制が整っているかどうかは導入するモデルを選ぶポイントになるでしょう。
最後に確認をされた方がいいのがランニングコストです。イニシャルコストは必ず皆さん比較されるのですが、意外と見ていないのがランニングコストです。年間なのか複数年なのかで異なりますが、保守料としてランニングコストがかかるメーカー(モデル)が多くあります。購入する際には必ずランニングコストの確認もして選ぶようにしてください。
口腔内スキャナーを導入するうえでよく聞かれるのが「うちでも導入できるのでしょうか?」という言葉です。この場合の「うちでも…」というのはほとんどの場合がITリテラシと院内環境に関するものでしょう。
こうした質問があると、私たちは基本的に『問題ありません』とお答えします。なぜなら口腔内スキャナーは、それほどまで高いスキルが必要ではなくITリテラシが低くてもほとんどの方が使えるものだからです。
とはいえ、導入にあたって必要なポイントはいくつかあります。まずは、前述のように医院の状況(環境)に合った口腔内スキャナーを選ぶこと。そして、実際にデータのやり取りをするラボの選定をきちんとすることです。
どこのメーカー(代理店)さんも導入まではしっかりと行ってくれます。会社によっては単純な使い方であれば講習などを通じてサポートしてくれます。基本的に誰でも使えるのが口腔内スキャナーですが、使いこなすためにはある程度のコツとトレーニングが必要になります。実際のデータがうまくとれているか(口腔内スキャナーが使いこなせているか)は、作り手側に見てもらわないとわかりません。また、歯科医院様だけではなくラボ側の相互がデジタル化が進んでいないと口腔内スキャナーを使いこなすことはできません。
すべてのラボがデジタルテクノロジーに精通しているわけではありません。そのため、口腔内スキャナーをうまく利活用するためにはデジタルに精通したラボとの連携が必要なのです。
デンタルバイオビジョンはデジタルテクノロジーを積極的に活用しているデンタルラボです。当社は2017年に口腔内スキャナーを導入し、その使い方を熟知することで、多くの歯科医院への導入支援を行ってきました。
2022年からは口腔内スキャナーに特化したセミナー『IOS Digital college』を開催し、2025年時点で10回以上のセミナーを開催してまいりました。そのため、歯科技工業界では口腔内スキャナーの活用に関しては業界のリーダー的存在と自負しております。多くの歯科医院さんへの導入を経て、当社でも多くの経験を積むことができました。セミナーでは各メーカーさんのご協力のもと、各種口腔内スキャナーを使っていただく機会も設けております。こうした経験からデンタルバイオビジョンでは以下のようなサポートが可能です。
口腔内スキャナーを最大限に活用するためのスキャン方法や撮影のコツを指導します。
エラーを防ぐスキャン手順や症例別のスキャンテクニックなど、臨床にすぐ役立つノウハウを提供します。
IOSデータを活用した補綴治療のワークフロー(データ送信、設計、製作)をサポートします。歯科医院とラボの連携を最適化し、効率的で再現性の高いデジタル診療体制の構築を支援します。
インプラント補綴、CAD/CAM補綴、デジタルデンチャーなど、デジタルデータを活用した症例の相談が可能です。設計段階から連携することで、精度の高い補綴物製作をサポートします。
『IOS Digital College』を通じて、歯科医院向けの教育・トレーニングを実施しています。
実機を使用した体験型セミナーにより、デジタルデンティストリーの理解と活用を促進します。
口腔内スキャナーは、今や歯科診療におけるデジタル化を進めるうえで重要なツールとなっています。しかし現在は多くのメーカーから様々なモデルが販売されており、医院の診療スタイルや院内環境によって適した機種は異なります。そのため、「どのスキャナーが一番良いか」というよりも、「自院に合ったスキャナーを選ぶこと」が何より重要です。
また、口腔内スキャナーは導入するだけで成果が出るものではなく、実際に使いこなすためのトレーニングや、デジタルワークフローを理解したラボとの連携が欠かせません。歯科医院と歯科技工所が協力しながらデジタル環境を構築することで、より効率的で質の高い補綴治療が実現します。
デンタルバイオビジョンでは、これまでの多くの導入支援やセミナー開催で得た経験をもとに、歯科医院様が口腔内スキャナーを効果的に活用できるようサポートしています。これから口腔内スキャナーの導入を検討されている先生方は、ぜひお気軽にご相談ください。