2021年1月アーカイブ

前歯スクリューリテインフルジルコニア(iTeroケース)

2021年01月26日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。

今回はiTeroのケースです。独自のクラウドサービスMyAligntechを介してデータを取得して、それをply形式で書き出してdental systemにインポートしたのでカラー表示です。ちょっと色合いが暗いですが、それでもカラー表示の方がイメージしやすいですね。左上1部にスクリューリテインフルジルコニアの設計をしました。ミラーリング機能を使って反対側の歯冠形態を反転コピーしたので、外形はシンメトリーな設計が簡単にできました。
あとはインプント接合部からの立ち上がりからエマージェンスプロファイルまでを理想的なサブジンジバル形状を作って、近遠心コンタクトポイントの微調整をおこなえばデザイン完了です。
心配したアクセスホール位置もギリギリ切縁より口蓋側に設定できて一安心です。
口腔内スキャンデータでインプラント上部構造の設計をおこなう場合は、スキャンボディに基づいたライブラリを用いることになります。
ですから、インプラントメーカーとサイズに合わせたスキャンボディを使用するのは勿論のこと、(必ずしもインプラントメーカー純正スキャンボディが良いとは限りません!)スキャンボディ・ライブラリ・チタンベースは3点セットで紐づいているので、スキャンボディを購入する前にデザインを依頼するラボにご相談されることをお勧めします。
ちなみに私は松風S-WAVEのスキャンボディをお勧めしています。

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上顎4前歯フルジルコニア(トリオスケース)

2021年01月25日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。

TRIOSケースです。上顎4前歯フルジルコニアクラウンのデザインをしました。
プロビジョナル形態を表示してデザインの参考にしたり、歯肉カントゥアーとの調和を考えたクラウンカントゥアーを意識しました。
プロビジョナルの重要性はアナログ時代から変わらずで、その役割は大きいですね。
メジャーメントグリッドを使えば、正確な数値として、左右の幅径や歯頸部から切縁までの長さを測ることができ、アナログ手技のような感覚的ではなく、数値的に左右をシンメトリーにデザインすることができるのはデジタルの強みですね。
アナログでは不可能な断面形状だって見れちゃいます。
ジルコニアディスクは以前と比べて、かなり多くのバリエーションがあり、症例によって使い分けが必要です。
このような審美ケースは強度はやや落ちますが、透過性の高いディスクを用いることと、シンタリング前のリキッド塗布やシンタリング後のアウターステインで色調のコントールをおこなえば、審美エリアでもフルジルコニアで十分綺麗に仕上げることができます。
この症例は4前歯すべて単冠だったので、試適なしの一発完成でセットできました。

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インデックスフレームの設計(プライムスキャン)

2021年01月23日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。

この前のコラムで紹介したプライムスキャンのケースです。複数歯インプラントケースの場合は必ずインデックスフレーム(口腔内で印象用コーピングとレジン固定するためのフレーム)をプロビジョナル製作時または試適用レジンアップフレーム製作時の時に用意します。
このインデックスフレームのデザインは、プロビジョナル用にスキャンしたスキャンボディを立てたデータだけをコピーして、dental systemで別オーダーを作ってます。
そしてあらかじめリング状とバー形状のものをデスクトップスキャナーでスキャンし、オリジナルのライブラリとして登録しておき、インデックスフレームのデザインをする時に使用しています。
スキャンボディが立ったデータで設計することで、実際に使用する印象用コーピングの植立方向や高さの目安になりますし、印象用コーピングが干渉しないリングサイズにしておくことができます。
これを使って口腔内インデックス採得をおこなっていただき、インデックス模型を作ります。それにスキャンボディを装着してデスクトップスキャナーで読み込んだデータをトリオスデータの中のスキャンボディを装着したデータと入れ替えるのです。
これによって作業用の模型が無くてもインプラントケースの適合が担保されます。
今までアナログで作業していたほとんどのことがデジタルでより正確に、より早くおこなえることができるので、やはりデジタルの恩恵はすごいです。

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プライムスキャンでインプラントフルマウス

2021年01月22日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。

プライムスキャンのケースです。上顎6~6スクリューリテイン症例のデザインをしました。
プロビジョナルも同様にプライムスキャンのデータでデザインし、そのデザインをベースに修正を加えながら最終補綴用のデザインをしました。
もちろん、モデルレスで完成させます。とは言っても、インデックス採得は必要になります。
でも作業用模型無しで、フルマウスを完成させるノウハウをもったラボはなかなか無いと思いますよ。
デザイン後、これを3Dプリンタで造形し、試適用のレジンアップを作ります。
レジンアップは最終デザインを想定しているので、形態、バイト、サブジンジバル形状、ポンティック形態などを確認していただき、必要に応じて調整してもらいます。レジンなので削合調整やレジン添加もおこなえます。レジンアップに問題無ければ、このデータをそのままフルジルコニアでミリング加工しますし、口腔内で調整した場合は調整後に上顎だけスキャンしていただき、そのデータをデザインしたオーダーに追加で入れ込んで、調整した状態と照らし合わせながらデザインを修正し、フルジルコニアでミリング加工していきます。
このケースは25ミリのジルコニアディスクを用いて加工しました。

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スキャンボディのズレ(トリオスケース)

2021年01月19日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。

これはTRIOSで撮影した右上3ユニットスクリューリテインフルジルコニアケースです。前回のコラムのように口腔内で撮影したスキャンボディとインデックスモデルに立てたスキャンボディのデータとをdental system上で重ね合わせるのですが、その時に大きなずれ無く重なり合えば良いのですが、このケースは手前のスキャンボディ同士に上下の大きなずれがあります。
これはマズイですね。どちらかがずれているのでしょうが、これを見極めるのは至難の業です。
基本的にオートマッチング(手動もできますがかなり難しいです・・)なので、これで最終上部構造を製作する予定でしたが、レジンアップフレーム試適に予定変更です。
レジンアップであればもし合わなくても切断して再接続できますし、その時に再度口腔内インデックス採得するとか、スキャンボディを立てた口腔内スキャンデータを撮り直すこともできますしね。
ジルコニアフレームまで進めてしまうと、合わなかったときの対応に苦労します。
予防策としては、やはり印象用コーピングで口腔内インデックス採得する際に必ずレントゲンできちんと接続できているか確認するようにお願いしています。
それに口腔内スキャンデータも少なからずデータの歪みが生じることを念頭に置いておくべきでしょう。

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複数歯インプラント補綴のインデックス採得の必要性(トリオスケース)

2021年01月18日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。

TRIOSで撮影した左上4本スクリューリテインフルジルコニア症例です。複数歯インプラントケースの場合は口腔内スキャンデータとは別に必ず印象用コーピングを用いて口腔内インデックス採得もおこない、インデックスモデルを用意して、それをデスクトップスキャナーでスキャンしたデータも用意します。
そして、dental systemにインデックスモデルのデータを取り込んで、スキャンボディのライブラリとマッチングさせるのですが、その前に口腔内にスキャンボディを装着したデータとの重ね合わせが必須です。
ちょっとややこしく感じるかもしれませんが、要は口腔内にスキャンボディを立てて撮影したデータとインデックスにスキャンボディを立てて撮影したデータとを入れ替えるのです。
そうすることでインプラント位置関係はインデックスデータの方が反映されるので、複数歯インプラント補綴でも適合を担保することができるのです。
ご覧の様に、口腔内のスキャンボディデータ(グレー色)とインデックス模型のスキャンボディデータ(ブルー色)との大きなずれが無く重なっていれば、適合だけでなくバイトやコンタクトのトラブルもなく進めることができますよ。
※「スキャンフラグの位置合わせ」は必ずインデックスデータでおこなっています。

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plyデータがインポートできるようになりました

2021年01月15日

大阪市の歯科技工所、デンタルバイオビジョンの辻です。
このコラムは主に口腔内スキャンのケースを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。
知っていましたか?
3shape dental systemの2020バージョンからはplyデータがインポートできるようになりました。
つまり、TRIOS以外の口腔内スキャナーデータもカラー表示されるようになったんですよ!
TRIOSの生データと比べると、ちょっと色調のリアルさには欠けますが・・・
そしてなぜかスキャナーによって、同じplyでも色合い?明るさ?が異なるんですよね・・・
ちなみに上のデータから、Primescan、Medit-i500、iTeroです。
それでも今まではstlデータのみのインポートでモノクロ表示しかなかったので、カラー表示が可能になったことは大きく前進しましたね。マージン設定時にカラー表示で確認したり、デジタル診断時のイメージアップになったりすると思うので、是非活用してみましょう。
余談ですが、トリオスの生データであるDCMをply形式でエクスポートすることもできるのですよ。
dental system 以外のソフトウェアで設計する場合はstl変換でエクスポートし、モノクロでデザインしなければならなかったのですが、こちらもカラー表示できるようになってます。
今までの書き出しデータの主流はstlでしたが、今後はカラー表示可能なplyやobjが主流になっていきそうです。
デジタルデザインが当たり前となった昨今、ソフトウェアはますます進化して、より使いやすくなっていくのだろうと思います。

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歯科技工所のコラム、始めます

2021年01月15日

大阪市の歯科技工所「デンタル.バイオビジョン株式会社」代表の辻です。
弊社では2000年の開業当初からCAD/CAM技工に注力し、審美補綴やインプラント補綴を中心にデジタル技工を確立してきました。そして、2016年頃から本格的に口腔内スキャナーデータも取り扱うようになり、デジタル術前診断、インプラントプランニング&サージカルガイド製作、プロビジョナルや最終技工物はモデルレス、つまりデジタルデータのみで製作するノウハウを構築しております。
トリオス、アイテロ、プライムスキャン、メディット、トロフィーなどあらゆる口腔内スキャナーに対応した歯科技工所です。
ここでは、普段からさまざまな口腔内スキャナーデータを扱っていく中での気付きや、設計のコツ、トラブル防止策、最新情報などをコラム形式でお伝えします。
魅力的なデジタルデンティストリーの世界を知っていただくきっかけになっていただけるような内容にしたいと思っております。
デンティストやデンタルテクニシャンの方々にとって口腔内スキャナーを扱う上でのヒントになれば幸いです。

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